人の弱い部分に共感
初めての刑事ドラマで、心底好きになれる役と出会った。「非の打ち所のないスーパーマンでも、一つぐらい弱い部分を持っていてほしい。もろい部分を持っているというのは、すごく共感できる」
演じる黒木は、完全無欠のヒーローではない。心に負った傷のせいで、一見、ぐうたらのお調子者になってしまう。男っぽさと繊細さとを併せ持つ、演じがいのある役だ。
見たことのある刑事ドラマといえば、「太陽にほえろ!」ぐらいだという。撮影が始まる前、本物の刑事から徹底的に話を聞き、下調べした。「今は刑事ものをもっとやってみたい」と思うほどだ。
記者志望だった学生時代、「世界中で起きている人間のドラマを、良いことも悪いことも全部見てみたい」と思った。根っからの「人間好き」なのだろう。
収録現場でもそうだ。「すてきな役者さんばっかりで、最大の理解者の岸刑事(菅原大吉)には、俳優名を忘れて『岸さぁん』って甘えたくなったり。好きな人がいっぱいできますね」
ニカッと笑った顔が、黒木と重なって見えた。
文・堀内佑二
写真・中村光一
Q 長い休みができたら何をしたいですか?(東京都・きょんさん)
A アスファルトもなく、ビルもなく、電話もないようなところに行きたいですね。太陽と空と水と緑と、そういう中ではしゃぎたいです。
Q 結婚して変わったことはありますか?(滋賀県・カオルンさん)
A 家庭と仕事は別個なので、切り替えなきゃいけないということを学びました。
Q 役者になっていなかったら、どんな職業に就いていましたか?(群馬県・たえこさん)
A もともと記者になりたかったんです。今でも、異文化、異次元の人たちに会って、話を聞いたりしたいという気持ちはありますね。
ゴンゾウ〜伝説の刑事 テレビ朝日系 水曜後9.00 井の頭署の備品係・黒木(内野聖陽)は、かつて捜査1課のエースだったが、過去の事件で心に傷を抱える。捜査現場に復帰した黒木の活躍で、射殺事件は解決したかに見えたが、真犯人の影が……。10日が最終話。
プロフィール
うちのまさあき
1968年9月16日、神奈川県生まれ。早稲田大在学中に、文学座研究所へ入所。96年のNHK「ふたりっ子」で人気を集める。NHK大河ドラマ「風林火山」など、テレビや舞台で活躍。14日のWOWOW「シリウスの道」でも主演。
(2008年9月5日 読売新聞)
内野聖陽、ダメ男に挑戦 大河「風林火山」勘助役から一変!